
朝、曇り空の下で
朝、窓の外は霞んだ雲に覆われていた。
その鈍い光が、部屋いっぱいに静かに広がっている。
マグカップに注いだコーヒーから、湯気がふわりと立ち上る。
深呼吸ひとつ。
今日もまた、始まる。
パソコンを開くと、無数の通知音が空気を揺らした。
──「昨日のアポ、ダメだった……」
小さなため息が、文字になって届く。
その重みを胸の奥でそっと受け止める。
窓の外を見上げた。
遠い空の向こう、まだ見ぬ未来に思いを馳せながら。
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小さな迷い、そして決意
ミーティングルームに流れる、張りつめた空気。
言葉少なに交わされるやり取りの中、
一人ひとりが、それぞれの迷いと、決意を抱えていた。
リストに目を落とし、そっと手を伸ばす。
パソコンの画面に並ぶ番号を一つ選び、クリックする。
ワンクリックで、すぐに相手との通話が始まるシステムだ。
呼び出し音が静かに耳を満たしていく。
その間に、心の波をそっと整える。
この一件が、きっと。
小さな願いを、またひとつ重ねながら。
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支え合うチーム、届く言葉
昼休み、椅子に深くもたれ、そっと目を閉じた。
スマホの画面を指でなぞると、そこには推しからのメッセージ。
──「どんな時も、自分を信じて。」
それだけで、ふっと肩の力が抜けた。
世界が、少しだけ優しくなる気がした。
画面の向こうから届く仲間たちのスタンプにも、
温かいものがにじんでいる。
一人じゃない。
それだけで、もう十分。
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熱血スケジュール帳に刻むもの
午後、またパソコンに向かう。
リストをスクロールし、次の番号に指を伸ばす。
ワンクリック。
また始まる新しい会話。
架電ツールの画面を見つめながら、
小さな灯りが心の中でまたひとつ灯るのを感じた。
スケジュール帳のすみっこに、そっと書き添えた「ライブの日」。
それをちらりと見て、ほんの少しだけ、笑う。
すべての努力は、未来の笑顔に繋がっているんだ。
そう、信じて。
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そして、走り続ける
一日の終わり。
外はまだ曇り空のままだったけれど、
胸の中には、静かに光るものがあった。
推しの言葉、仲間の存在、
そして、今日一日を積み重ねた自分自身。
すべてが、ここにある。
スケジュール帳を閉じる音が、静かに部屋に響いた。
その余韻に包まれながら、私はふっと目を閉じる。
──次のライブの日、私はあの場所に立つ。
この手で掴んだチケットを握りしめて。
そう思うと、心の奥で、なにかがそっと弾けた。
また明日。
また一歩。
まだ、続いていく。
この熱血スケジュール帳とともに。
──完。