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第二話 オタク心と営業のバランス

第二話 オタク心と営業のバランス

仕事と推しの間で揺れる心

朝、カーテン越しに柔らかな光が差し込む。
昨日のライブチケット当選の余韻に包まれたまま、私はゆっくりとまぶたを開いた。

胸の奥が、まだふわふわと高鳴っている。
けれど、スマホを手に取ると、そこには「ミーティング10:00〜」の文字。現実がすぐそこまで追いかけてきていた。

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眠気を振り払うように、キッチンでコーヒーを淹れる。
立ちのぼる湯気と香ばしい匂いに、少しだけ心が落ち着いていく。
パソコンを開く指先に、まだ「推し」の面影がちらついていることに、苦笑いがこぼれた。

テレマ事業部の一員として、今日も私は電話をかけ続ける。
だけど──どうしても、 次のライブの景色を思い浮かべてしまう、自分を止めることができない。

だが、もう少しで業務開始の時刻。自分を鼓舞するかのように「今日も、頑張ろう。」と、
小さく、でも確かに、自分に言い聞かせた。
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営業職としての責任感

朝のミーティングを終えると、静かに戦いの火蓋が切られる。

デスクに並んだリストを手に取り、受話器を握る。
ひとつ、またひとつ。
名前を呼び、番号を押し、電話の向こうにいる誰かに声を届ける。

数値が全てではないけれど、今は一件でも多くアポを取ることが使命だ。
朝のミーティングで見た数字が、背中を押す。

「この一件が、きっと未来に繋がる。」

小さな画面に浮かぶ店舗名をなぞりながら、私は目を細める。
推しのライブに行けること、それがまた次のモチベーションになっている。
自分でも笑ってしまうくらい、単純で、だけどまっすぐな理由だった。

一件一件、心を込めて声を届ける。
この積み重ねが、私を少しずつ強くしてくれると信じているのだ。

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営業後の楽しみ、オタク活動の充実感

キリの良いタイミングで各自、休憩タイム。
ふっと椅子に沈み込み、目を閉じ、肩の力を抜いた。

午前中にかけ続けた電話の数だけ、身体に心地よい疲れが残っている。
だけど、その重みすら、どこか誇らしい。

パソコンの画面を開き、「推し」のSNSにアクセスする。
ふわりと心が浮かび上がる。
スクロールするたびに、画面の向こうから笑顔が溢れ出してくる気がした。

昨日の投稿に、自然と目尻が下がる。
ほんの数秒、世界から切り離されたような、幸せな時間。

「絶対、次も会いに行く。」
心の中で静かに、でも確かな声で誓った。

そしてまた、ゆっくりと背筋を伸ばし、午後の仕事へと向かう。
推しへの想いが、私をそっと支えてくれていた。

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どちらも大切なものとして

午後のミーティングを終え、夕方の空気に包まれながら、ふと考える。

「私は、本当にバランスを取れているのだろうか。」

電話をかけながら推しを想い、推しを想いながらまた仕事に向かう。
矛盾しているようで、それでもどちらも、間違いなく私の一部だった。

無理せず、どちらも大切にしていくこと。
それが、私なりの答えだと思う。

「よし、今週も、もっと頑張ろう。」

ほんの少しだけ力を込めて、手をぎゅっと握る。
視線の先には、まだ見ぬ未来が広がっていた。

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心に余裕を持つために

オレンジ色に染まる空を見上げながら、私はデスクの上を片付けた。

気づけば、昼間の疲れがすっと軽くなっている。
心の中に、ふわりと柔らかい灯りがともる。

推しの存在が、そっと背中を押してくれていた。
だからまた、明日も頑張れる。

「明日も、いい日になりますように。」小さな願いを胸に、私はそっと今日を閉じた。
静かな満足感と、明日への期待を抱きながら。

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