翌朝、まどかはCSS部門の元メンバーで、現在は育休中の同期・中村千鶴に連絡を取った。千鶴はオンライン上ではあまり発言しないが、過去の人事やチーム編成に詳しい人物だった。
「青山さん……ああ、いたよ。すごく静かな子で、在宅でもきっちり稼働してた。でも、ある日を境に全く応答がなくなってね」
「それって、退職とかじゃなくて?」
「それが……。管理ツール上では“稼働中”のままだったの。チャットも、Meetも入ったまま。でも、誰も応答が取れなかった。変な話、Zoomの背景にだけ、時々見切れてたって人もいた」
まどかは鳥肌が立つのを感じた。まるで“そこに居続けていた”ような言い方だった。
「結局、彼女のアカウントはどうなったの?」
「有耶無耶のまま“非表示”にされたのよ。正式な退職処理じゃなく、誰にも言わずに」
まどかは管理画面に再度アクセスし、「N.Aoyama」のプロフィール詳細を確認した。
最終稼働日時:2020年6月4日 02:11AM 現在のステータス:アクティブ
システム上では“まだいる”ことになっている。退職済み社員の記録は90日後に削除されるはずなのに、青山のアカウントだけは例外のようだった。
そのとき、通知が入る。
『共有ファイル「voice_20200604.m4a」がアップロードされました』
開くと、音声ファイルがひとつだけ入っていた。無音のように思えたが、ヘッドホンでよく聞いてみると、かすかに「……いますか……」と女性の声が重なるように混じっていた。
そこに続けて表示されるSlack通知:
『あなたの発信は、受信されています』
まどかは、ファイルをすぐに削除しようとしたが、既に社内のメンバー数名がその通知を既読にしていた。
「なんで……」
焦る彼女に、れなから通話が入る。
「まどか。今、Meetに入ってる?」
「え? 入ってない。今ローカルで……」
「じゃあ、誰かが“知念まどか”としてログインしてる」
れなの画面には、カメラOFFで名前だけが表示された「知念まどか」の表示。しかも、その隣には、薄くフェードインするようにもう一つの名前があった。
N.Aoyama
れなは画面を録画しようとしたが、次の瞬間、Meetの画面全体が一瞬ノイズに包まれ、すべての接続が自動で終了された。
Slackに最後に届いた通知は、れなとまどかだけが確認できた。
『N.Aoyama は、この会議を離れました』
三話へ続く・・・
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